市販薬の乱用が頭痛をさらに悪化させている

風邪薬を使う人まで

頭痛が始まったとき、どんな対処をするでしょうか?病院に駆け込む人はごくごく少数派で、頭痛を和らげるために市販の鎮痛剤やカゼ薬を利用する人が大半を占めるはず。いわゆる頭痛持ちの人ほど市販薬を常備・携帯し、1日に何度も服用しているようです。
市販薬は一般に、病医院が処方する医薬品に比べて、作用が穏やかにできています。
とはいえ、立て続けに飲んだり大量に飲んだりする習慣がつけば、今度は薬物乱用頭痛(を招いてしまいます。実際に、薬物乱用頭痛に陥る人は増加の一途をたどっています。

ひと口に「頭が痛い」といっても、片頭痛・緊張型頭痛・群発顛痛など、頭痛の種類によって、原因も治し方も違い、市販の顛痛薬では対応しきれないのです。
一方、頭痛専門医は、頭痛の種類に応じた治療薬を使います。

例えば、ストレスや首・肩のこりによって起こる緊張型頭痛に対しては抗ウツ剤や抗不安薬、筋弛緩剤などを用いるのです。抗ウツ剤や抗不安薬は、痛みへの不安抑制、心身の緊張緩和、痛みの緩和といった作用があります。
筋弛緩剤には、血流促進や筋肉の緊張をほぐす作用が期待できます。

片面痛に対する代表的な薬は、トリプタン製剤(トリプタンを主成分とする薬) です。トリプタンは、神経伝達物質のセロトニンに働きかけて仙胎血管Hの山共常な拡張を抑ゝえる作用や、三叉神経(顔面の知覚を脳に伝える神経)から放出される炎症物質を抑える作用、脳内での片歯痛情報の伝達を遮断する作用などえ購わています。群発頭痛の頓服(急性症状を抑えるために飲む薬)としても、トリブタン製剤が用いられます。

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薬物乱用頭痛は治せる

病医院で正しい治療を受けなかったばかりに、薬物乱用頭痛を招いた患者さんの実例です。慢性的な頭痛に悩まされていたAさん(43歳)は、市販の鎮痛剤を使用していましたが、10年ほど前からは頭痛の頻度が増え、鎮痛剤が効かなくなったため、薬局ですすめられたカゼ薬に切り替えました。しかし、カゼ薬の効きめも落ち、どんどん服用問隔が短くなっていきました。3年前に近所の医院を受診したものの、処方された鎮痛剤では頭痛の症状は改善されなかったそうです。さすがに不安を感じたAさんは専門の頭痛外来を受診しました。診察の結果、Aさんにはもともと片頭痛があり、市販薬の乱用によって別の頭痛が始まったものとわかり、適切な治療を行いました。その結果、治療薬の種類と量を徐々に減らすことに成功。最近では薬を全く飲まない日が増えてきています。

一般の人が勝手な自己診断をして頭痛の種類を決めつけることも、市販薬の乱用と同じぐらい危険な行為です。実際には片面痛なのに、顔全体が痛いような気がするからと、「自分は緊張型顔痛に違いない」と思い込んでいる人や2種類以上の頭痛を併発している人もいます。

反対に、緊張型頭痛の中には、筋肉の緊張とは問係なく、脳の痛みを感じる機能に変調を来したり、心の病気(ウツなど)が原図になったりしている場合があります。そのため、「首や肩がこっていないから緊張型頭痛ではない」と決めつけるのは早計です。
中耳炎や脳波異常、低髄液圧症候群(脳内の部隊液が減少する病気)、甲状蹴の機能低下、椎骨動脈解離(首の後ろにある太い血管が裂ける病気)などでも、緊張型頭痛を似た症状がでます。よく片頭痛と混同されることがあります。このように頭痛の原因には数多くのものがあります。頭痛を克服するためには、自分勝手な自己診断や思い込みをやめて、頭痛の専門医がいる病院を受診するのが大切です。

慢性頭痛の特徴一覧

  片頭痛 緊張型頭痛 群発頭痛
痛む部位 こめかみ周辺が中心。片側だけのときも、両側のときもある 後頭部を中心に両側頭部や首筋にかけて。 片側の目の奥
痛み方 ズキンズキンと脈打つような痛み。体を動かすとずつが悪化する。発作の直前に目の前がちかちかすることがある。 金属の輪で頭を締め付けられているような痛みがあり、頭が重い感覚。首や肩のこりも。 突然、片側の目の奥がえぐられるような発作に襲われる。痛みの強さは頭痛の中でも最大級。
痛みの持続時間と頻度 痛みは数時間から2~3日で治まる。頻度は週1~2回の人から月に1~2回の人まで。 1日中続く痛みがほぼ毎日のように持続する。 痛みは15分~数時間続く。1~2ヶ月の間に集中してほぼ毎日起きる。
頭痛以外の症状 吐き気、嘔吐を伴うこともある。光や音、においに過敏になる。 ふわふわするめまい感を伴うこともある。 目の充血や涙・鼻水・鼻づまりを伴うことが多い。

3つの頭痛をさらに詳しく(痛みの特徴や予防法まで)

コメント

  1. […] けれど、鎮痛剤は飲みたくない」というとき、試してみるといいでしょう。痛み止めの飲み過ぎが頭痛をひどくしているケースもあります。 頭痛もちの人は生活習慣の改善も必要です。 […]