更年期障害 ( 症状・原因・治療 )さまざまな不調があらわれとても大変です。想像していたよりもはるかにつらい「更年期症状」で悩んでいる場合は、自分に適した治療法を選択することが大切です。薬物療法では「ホルモン補充療法」が効果的ですが、乳がんのリスクも報告されているので、効能、効果そしてデメリットとなる副作用を知り、十分に理解した上で使用するのがいいでしょう。
更年期障害 どの治療法が自分に適しているのか?
「更年期症状」に対する薬物療法の中に、加齢により低下した女性ホルモンを補う「ホルモン補充療法」があります。
そのほか、漢方薬や抗うつ薬などを服用する場合もあります。更年期症状の感じ方は人によって異なります。治療を受けるか受けないか、どの治療法を選択するか、どれくらいの期間治療を継続するかなどを決めるのは、最終的には患者さんご自身です。
症状の種類や程度、女性ホルモンの低下の程度、それぞれの治療法の特徴などを考え合わせ、婦人科の専門医とよく相談して納得した上で決め治療を開始するといいでしょう。
ホルモン補充療法はのぼせ、発汗などに効果的だが治療中は乳がん検診を受ける
女性ホルモンには、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」があります。ホルモン補充療法の目的は、不足すると特に体に大きな影響を及ぼすエストロゲンを補充することです。
一般的に、40歳ごろの濃度50~80pg/mlを保つように補充します。ただし、エストロゲンだけを補充すると、子宮体がんが起こりやすいので、これを防ぐためにプロゲステロンを併用します。
一般に、ホルモン補充療法は、エストロゲンの低下や性腺刺激ホルモンの上昇が認められ、更年期症状が比較的強い場合に向いています。治療を受ける期間は人によって異なりますが、一般的には4~5年以内の治療期間となります。
多くの方は、最もつらい時期に治療を始め、次第に薬を減らすなど様子を見ながら治療を終了し、更年期を脱しています。しかし、なかには、「ホルモン補充療法を受けていると心身の調子がよいため、長期間続けたい」といって、検査を受けながら長期間使用している方もいます。
薬の使い方
薬の使用法には、主に次の2つの方法があります。なお、薬には、のみ薬のほか、エストロゲンの貼り薬があります。
- エストロゲンを連続、プロゲステロンを周期的に使用する方法エストロゲンを1ヶ月間毎日使用し、そのうちの約2週間はプロゲステロンを併用します。この方法では月経のような出血が起こります。2つの薬を併用したあと、約1週間の休薬期間を設ける方法もあります。
- 連続使用の方法エストロゲンとプロゲステロンを同時に連続して使用します。初期に出血が起こりますが、やがて治まります。
3ヶ月間程度で効果を判定
ホルモン補充療法は、特に「のぼせ、発汗」などの改善に有効です。また、「動悸、肩こり」などほかの身体症状や、「落ち込み、憂うつ」などの精神症状の改善にも一定の効果がみられます。一般に治療開始から1ヶ月ほどで、何らかの効果が感じられるようになります。3ヶ月間程度で効果を判断し、期待したほどの効果が得られない場合は、ほかの治療法を検討します。なお、女性ホルモンを補うことで、更年期に関連して起こりやすい「老人性膵炎」を改善したり、骨租髭症、動脈硬化などを予防する効果もあります。
治療そのものを受けられない場合もある
ホルモン補充療法を長期にわたって受けると、「乳がん」、血液の塊(血栓)ができて血管が塞がる「静脈血栓塞栓症」「虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)」になる可能性が少し増えると欧米で報告されています。
ただし短期(数年)であればリスクはほとんどありませんし、長期の場合でもリスクの上昇はわずかです。
ホルモン補充療法の治療が受けられない人
- 乳がんや子宮がんになったことのある人や現在、治療中の人
- 静脈血栓塞栓症を現在治療中の人
治療を受ける際に注意が必要な人
- 静脈血栓塞栓症になったことのある人
- 動脈硬化、糖尿病、肝機能障害、高血圧のある人
- 子宮筋腫、子宮内膜症、乳腺症のある人
- 胆石のある人
定期的に検査を受けなければならない人
ホルモン補充療法を受けている間は、1年に1回は乳がんや子宮がんの検査を受けることが重要です。そのほか、全身の健康状態を調べるため、一般的な健康診断も受けるようにします。
その他の薬物療法 漢方薬や抗うつ薬が使われる場合も
- 漢方薬患者さんに適した漢方薬が選ばれる」「心を含めた全身状態のバランスを整えて、症状の改善を図る」などの特徴があり、患者さんひとりひとりに合った漢方薬を処方します。
- 漢方薬は、ホルモン補充療法に比べると作用が穏やかです。更年期症状が比較的軽い場合や、エストロゲンがあまり低下していない場合、ホルモン補充療法を受けられない、あるいは希望しない場合に適しています。更年期障害の漢方薬
- 抗うつ薬「気分の落ち込み、憂うつ、無気力」などがある場合に使われます。
- 抗不安薬不安、イライラ」などがある場合に使われます。
- 睡眠薬「不眠」があるときに使われます。
これらの薬は、エストロゲンがあまり低下していない、ホルモン補充療法を受けられない、あるいは希望しない場合に適しています。いずれも、ホルモン補充療法と併用することもあります。
更年期の期間を快適に過ごすために
軽い運動や好きなことをすることでリラックスする
- バランスのいい食事体調が悪いときには、食事づくりも負担になります。だからといって食生活がおろそかになると、健康によくありません。簡単に調理ができて、栄養バランスのよい献立例をいくつか用意しておくのも大切です。
- また、「イソフラボン」を含む大豆には、エストロゲンに似た作用があるとされますので、大豆や大豆製品を積極的に食事に取り入れることが勧められます。ほかに「食事でカルシウムをとる」「野菜類や魚などを積極的に取り入れる」「腹八分目を心がける」などで、肥満や動脈硬化、骨粗鬆症などを予防します。
- 運動による気分転換できる範囲で体を動かすようにしましょう。適度な運動は、全身の血液循環をよくし、肩こりなどを予防します。ストレス解消にもいいでしょう。
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コメント
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