旅行先で決まって頭痛が起きる

慢性的な頭痛に悩む人からは、「発作に見舞われるので旅行に出かけられない」という声をよく聞きます。実際、頭痛持ちの患者さんにとって、旅行には頭痛の発作を招く要因が少なくないのです。例えば、飛行機に乗ったり、高い山に登ったりすると、気圧の変動で発作が現れやすいし、満員電車や人込みにもまれるストレスも一因となります。

さらに、強い日差しや慣れないにおいで頭痛が起こる人も多いうえに、食事の時問がずれて空腹になったり、疲労がたまったりして頭痛を招くこともあります。しかし、頭痛持ちの人でも旅行を楽しむことはできるので、安心してください。
まず大切なのは、余裕を持った日程を組むことです。旅行の前日と旅行中は、十分な睡眠をとるようにしましょう。特に、片頭痛や群発頭痛の発作が起こる時期に入っていたら、飛行機に乗るときは必ず頭痛薬を持ち込むようにしてください。旅行先でも、人で込み合うような時問帝の観光は避けたほうが無難です。
さらに、外出時はサングラスや帽子で日差しを防ぐ、タバコなどにおいの強いものをそばに置かない、お酒は控えるといった工夫も、頭痛の発作を防ぐのに役立ちます。
空腹になると頭が痛くなる人は、朝食をきちんととって、昼食や夕食もできるだけいつもどおりの時問に食べるようにします。それでも頭痛が起こってしまったら、片頭痛の場合はこめかみを冷やしたり、カフェインを含むコーヒーや紅茶を飲んだりするといいでしょう。
緊張型頭痛の場合は、軽い運動を行うと痛みが和らぐことが多いようです。ただし、どうすれば痛みが和らぐかは人によって違います。旅行に出かけるなら、あらかじめ医師とも相談して、頭痛が起こったときの対策を決めておくと、不安の解消に役立つでしょう。
頭痛薬については、3~4日ぐらいなら、毎日飲んでもそれほど問題はありません。頭痛がひどくなるまで我慢せず、早めに薬を飲むことも大切です。
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頭痛が起こりやすい季節と前ぶれ症状について

片頭痛の発作は、気温や湿度、気圧の変化によって誘発されることから、春先や秋口といった季節の変わりめに、片頭痛が増えることがあります。天候としては、雨の日や日差しの強い日が多いので、梅雨時から夏にかけての時期は、特に注意したほうがいいでしょう。起こる時問帝は、朝が比較的多いのですが、これは、朝万に血糖値がさがるためだと思われます。また、旅行や中や年末年始など生活のリズムが乱れたときも片頭痛が起こりやすいようです。
そのため、「旅行だから、年末年始だから特別」と思わず、ふだんの生活リズムを守ることは、発作の予防につながります。
緊張型頭痛はどの季節でも見られます。l日の中では、疲れのたまる夕方に痛みの出る人が多いようです。群発顔痛の発作は、多くの方で、半年から2年おきの同じ時期に現れるのが特徴です。だいたい2週間から2ヶ月の間、毎日のように強い痛みに見舞われ、中でも夜中や早朝に痛みがでやすくなります。
頭痛はしばしば、前ぶれ(前兆)があります。
片頭痛の前ぶれとしては、目の前にキラキラした星のようなものが現れる閃輝暗点があり、10人の片頭痛の患者さんのうち、1~2人に起こります。生あくびや空腹感、理由もなくイライラしたりするといった前ぶれが起こることもあります。
これは、脳の視床下部の異常によるのではないかといわれています。群発商痛の患者さんの中には、前ぶれとして、頭痛のある側の肩から首筋がグーツと張ってくるという人が6割ほどいます。肩や首すじのこりは、緊襲型頭痛や片頭痛の前ぶれでもありますが、動いても痛みが増さない場合は、緊張型頭痛と考えられます。自分の頭痛の前ぶれを知ることは、予防の点からも大切といえます。知っていれば、肩がこったり生あくびが起こ
ったりしたらその時点で無理をさける、薬を飲むなど、自分である程度の対策をとることができるからです。

頭が痛いときに最適な市販薬の選び方と副作用

市販の頭痛薬は、飲んでも頭痛の根治にはつながりませんが、軽い片頭痛や緊張型頭痛の症状を一時的に軽減する効果はあります。市販薬に含まれるような主な痛み止めの成分は、アスピリンやイブプロフェン、アセトアミノフェンです。

痛み止めの成分以外にもカフェインや鎮静作用のある成分を含んだ市販薬が多くあります。できるだけ痛み止め以外の成分が含まれていないものを選ぶのが大切です。アセトアミノフェン以外は胃が荒れやすいという副作用があるので、胃潰瘍のある人には向きません。空腹のときは先に食事をとるか、胃薬とともに飲むようにします。また、アスピリンはビタミンCの多いイチゴやレモン、ブロッコリーと飲み合わせが悪く、消化器の出血を起こしやすくなります。アセトアミノブェンは、糖やデンプンの多いものを食べたあとに飲むと、薬の吸収が遅れるてともあるので注意します。

次は、病院で処方する頭痛薬についてです。頭痛で仕事や家事に支障が出ている人には、定期的に飲むことで発作の頻度を減らしたり、痛みを軽くしたりする予防薬を処方することがあります。予防薬には、カルシウム括抗薬や抗てんかん薬、抗ウツ薬が用いられます。

アスピリンやイブプロフェンのような痛み止めは、遅くとも頭痛の出始めたときに飲まないと効きません。市販薬や予防薬で痛みが消えない人には、痛みが出てからでも効果のあるトリブタン製剤が処方されます。飲み薬のほかに、吐き気が強い人向けの点鼻薬や即効性に優れた注射薬があるので、医師や薬剤師の指示を守って使用してください。さらに今年から、それまで処方薬として広く使われたロキソプロフェンが、市販薬にも登場しています。市販薬でも処方薬でも、頻繁に飲みすぎると、薬物乱用頭痛といって痛みがかえってひどくなったり、発作の頻度が増えたりすることがあります。それまで効いていた市販薬が効きにくくなった場合は、薬の量や飲む回数を増やしたりするのではなく、専門医の診察を受けるのが大切です。

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頭痛持ちは移動の際の乗り物選びにも注意する

電車は通路側の座席に座る

慢性的な頭痛に悩まされている人の多くは、環境の変化に敏感なため、乗り物で移動しているときに頭痛が起こることが多いようです。実際、乗り物を利用しているときは、左右上下の揺れや細かい振動によって脳が常に刺激されます。しかも、窓から差し込む日差しでまぶしさや暑さを感じたり、満員電車の場合なら酸素が薄くなったりするなど、乗り物には特に片頭痛の発作を招くさまざまな変困があります。以下、移動手段ごとに、片頭痛持ちの人が気をつけるべき点です。

自動車

自動車には、さまざまな車種があります。中でも頭痛を引き起こしやすいタイプは、急加速ができて、高速でカープを旋回できるスポーツカー。ふつうの乗用車でも、激しい運転がよくないことはいうまでもありません。車高の高い四輪駆動車も、座席が高いため、運転中の揺れが大きくなります。

同じ理由から、バスでの長時間の移動もさけたほうがいいでしょう。頭痛を起こしにくいのは、乗り心地を重視したセダン(高級車の一種)タイプです。排気量の大きい高級車ほど揺れが少なく、頭痛が起こりにくいといえます。
車内の環境にも要注意です。換気を心がけていないと、嫌なにおいがこもりがち。特にタバコは、頭痛の原因になるばかりか、車内ににおいもこびりついてしまいます。禁煙を心がけましょう。日差しが強くまぶしいときは、前の座席の日除けを下ろしたり、サングラスをかけたりして、目に直射日光が入らないようにしてください。

電車

乗車のさいは、隣を走る電車とすれ違う対向線路とは反対側の座席を選ぶといいでしょう。対向線路側の座席は、電車とすれ違ったときに気圧が変化し、頭痛を起こす危険が大きくなるからです。新幹線などで指定席をとるときには窓側でなく通路側の座席を選ぶようにします。
また、電車の窓から直射日光が当たるようなら、カーテンを下ろすことも大切です。

飛行機

飛行中の機内は、気圧がかなり低くなっています。気圧が低いと全身の血管が拡張するため、片頭痛の発作が起こりやすくなります。こうした気圧の変化は防ぎようがないので、片頭痛持ちの人は、飛行機の利用をさけたほうがいいでしょう。
しかし、やむをえず飛行機に乗る場合には、事前に予防薬を飲んでおくことをおすすめします。片頭痛の発作を引き起こすほかの原図にも気をつけてください。具体的には、前日は十分に睡眠をとって体を休めておく、機内ではアルコールやチョコレートなど血管を拡張させる食べ物は口にしないといったことが大切です。なお、機内サービスのコーヒーや紅茶、緑茶を一杯飲めばカフェインの作用で血管の拡張が抑えられるので片頭痛の予防に役立ちます。

頭痛を引き起こしやすい性格や行動など

うつむき姿勢は緊張型頭痛の原因に

慢性的な頭痛の原因はさまざまで、意外に思うような日常の行動が痛みを招くこともあります。ここでは、緊張型頭痛と片頭痛について、ふだん見落とされがちな生活の盲点を紹介します。まず、緊張型頭痛の人は、無意識のうちに首や肩の筋肉に負担がかかっていることが少なくありません。
次のことに注意します。

重い荷物を持つ

中腰の姿勢で重い荷物を持ち運ぶときは、首や肩の筋肉に大きな負担がかかります。しかも踏んばろうとするので、歯を食いしばってしまいがちです。このような行為は、特に首の筋肉を強くこわばらせるため、緊張型頭痛を招く原因となります。

携帯電話・pcの入力などの操作

携帯電話でメールを打つときは、うつむいた姿勢やネコ背になりがち。こうした悪い姿勢は、緊張型頭痛を招く最大の原因です。人間は重い頭を、首から下の筋肉や骨格でバランスをとることによって支えています。ところが、うつむくと頭の重みが首・肩の筋肉に偏ってかかります。その状態が長く続くと首・肩のこりを招き、緊張型頭痛が起こりやすくなります。最近は「VDT症候群」といって、長時間のパソコン使用による健康障害が社会問題になっています。
VDT機器を使った作業環境を整える(パソコンのモニターの調節)などを参考にするといいかもしれません。
VDT症候群も、うつむき姿勢やネコ背が重大原因。携帯電話やパソコンを多用する人は、意識的に長時問のうつむき姿勢、ネコ背をさけてください。姿勢を正す習慣をつけるようにします。

まじめに考えすぎる

まじめな人は神経質で緊張しやすいためか、首・肩の筋肉肉がこわばりがち。さらに、まじめな人に多い鬱症状も緊張型頭痛の引き金になることがあります。ある調査によると、原因不明の頭痛で病医院を受診した4人に1人が鬱症状だったと報告されています。
また、こ調査では、症状が半年以上続いている慢性頭痛の人は、1ヶ月未満で治った人と比べ、鬱症状の割合が7倍も高いことが明らかになっています。まじめな人は、心にゆとりを持つことが大事。また、不眠や食欲不振などの症状がある場合は、鬱病のおそれがあるので要注意です。

パソコンによる目の酷使

目が疲れる、乾く、まぶしい、涙が出るといった症状は頭痛のサイン。こうした症状は、目のピントを合わせる毛様体という筋肉が酷使されることによって起こります。毛様体が酷使されると頭部の筋8肉がこわばり、緊張型頭痛が起こりやすくなるのです。特にVDT症候群の人は、パソコンの画面を見つづけると、まばたきの回数が減ってドライアイを起こします。パソコン作業を行うときは、30分おきくらいに休憩をとり、目を休めてください。

ゴロ寝でテレビを見る

居問などでひじ枕をしながらゴロ寝でテレビを見ることが習慣になっていると、内耳(耳穴の中にある鼓膜の内側で一番奥の部分) の血流が衰え、めまい(内耳性めまい)を起こすことがあります。内耳の異常は、めまいだけではなく頭痛も招くので、ゴロ寝をしながらテレビを見るのはやめましょう。

緊張がとけると片頭痛が起きる

次に、片頭痛の発作を起こす意外な原因です。

コーヒーやお茶の過剰摂取

コーヒーや紅茶、緑茶に含まれるカフェインは血管を収縮させる作用があるので、少量なら片頭痛を和らげることもできますが、カフェインの摂りすぎは逆効果です。特に、ふだんからコーヒーをたくさん飲んでいる人は、コーヒーを飲まない日にはそれまで収縮していた血管が拡張し、片頭痛の発作を招きやすくなるからです。
コーヒーの1日の適量は、3杯程度までと考えてください。お茶に含まれるカフェインの量はコーヒーほどではありませんが、1~2杯にとどめたほうがいいでしょう。
頭痛症状がひどい人は、カフェインを含まないカフェインレスコーヒーにするといいでしょう。

極端なストレス発散

片頭痛は緊張型頭痛と違って、緊張しているときよりもリラックスしたときに起こりやすくなります。緊張時には血管が収縮しているのですが、リラックスした途端に血管が急に拡張し症状が現れるのです。例えば、次の日に休みだからといって仕事帰りに飲みに行ったり、カラオケで騒いだりすると、急に全身がリラックスして片頭痛の発作が起こりやすくなります。片頭痛持ちの人は、夜のつきあいなどは、極力さけたほうがいいでしょう。

頭痛を招く意外な原因(まとめ)

  • 同じ姿勢でパソコン作業を行う
  • 首や肩の負担が大きい高さの合っていない枕を使う
  • 度の合っていないめがね、コンタクトレンズを使っている
  • 歯をくいしばるような重い荷物を持つ
  • 性格がまじめで悩みが多い
  • うつむいた姿勢が多い
  • カフェインの過剰摂取
  • 飲み会やカラオケで大騒ぎする
  • 緊張状態から急にリラックスする