高齢化社会と言われる現在、認知症患者は急増していて、2005年では約205万人でしたが、この調子でいけば、2020年頃には約300万人に達するとみられています。そうなると介護者を含めた約1000万人以上の国民が何らかの形で認知症問題に関わることになります。
脳の血管が詰まることで起こるものと、脳全体の異常な老化が原因のものとある
認知症とは、後天的な脳の器質的障害により、一旦正常に発達した知能が低下した状態を言いますが、単に老化に伴って物覚えが悪くなるといった、誰にでも起こる現象は含まず、病的に能力が低下する場合のみを指します。
認知症は大きく分けると「脳血管性認知症」と「アルツハイマー型認知症」の2つのタイプになります。
以前は前者が多かったのですが、現在は後者の患者が多くなっています。
脳血管性認知症は生活習慣病からくる小さな脳梗塞が多発し、脳の血管が詰まり、脳の組織が徐々に死んでしまい、認知症や運動に障害が出てくるものです。
従って、その治療には脳梗塞や脳出血への治療が有用と考えられ、脳血流改善薬や脳血管拡張薬、脳代謝賦括薬などが用いられます。
一方、アルツハイマー型認知症は、脳全体に異常な老化が起こり、脳の司令部である大脳皮質に障害が発生し、そのため脳内のあらゆる情報伝達がうまくいかず、認知症症状がきわめてゆっくりと進行していきます。治療薬は情報伝達を担うアセチルコリンを分解する酵素アセチルコリンエステラーゼを聾する薬(「アリセプト」) だけが、厚生労働省から認められています。しかし、残念ながらアルツハイマー型認知症を発症すると10年から15年で死亡すると言われています。
初期症状
- 職場で手紙の住所や日付を書き間違える
- つじつまの合わない文章を書くようになる
- 人の名前や物を仕舞った場所を忘れたり、約束を忘れる
進行症状
- 通勤の道を間違える
- 家の中でトイレの場所を忘れる
- 年齢がわからなくなってしまう
- 言葉の最後の数語を反復させる
- 人形を子供と信じてなでたり、あやす
- 食事をしたことを忘れ、食べた直後に「食事はまだ?」と催促する
重症化
人格が変化し、感情的に不安定になり、術卸したり、環境に適応できずに
さまざまを問題を引き起こし、ついには精神の荒廃状態に陥り、言葉を発す
ることもできなくなり、寝たきりになる。
このように、認知症は、本人はもちろんのこと、家族など周りの人の生活にも暗く大きな影響を与える深刻な病気です。しかし、その根本的な治療薬はまだ開発されておらず、その開発が社会的に熱望されているのが現状です。
高麗紅参の作用で神経細胞の死滅を抑制することでアルツハイマー型認知症に有効に作用する
近年、「アミロイド仮説」に基づくアルツハイマー型認知症の根本治療薬の開発研究が盛んに行われています。
アミロイド仮説とは、脳内におけるアミロイドβタンパクが増加・蓄積すると神経の変性・脱落が起こり、アルツハイマー病発症の原因となるという仮説です。
最近、高麗紅参のアミロイドに対する影響を調べた臨床試験が数多く報告されており、大変興味ある結果が出ています。
また、高麗紅参の脳血管性痴呆症に対する効果も発表されています。実際に行われた実験では、細胞実験により、高麗紅参はアミロイドβタンパクにより神経細胞が死滅することを抑制することがわかりました。
同様の結果が世界各地の研究者によって確認されています。また、韓国・ソウル医療センターやソウル国立大学病院で行われた臨床実験でも、高麗紅参を投与したアルツハイマー病患者に改善が見られたことがわかっています。
脳血管性痴呆症についても、紅参の主要有効成分であるサポニンのジンセノサイドRb1やRb2が有効な薬物となりうることを示唆しているとの報告があります。これらの結果から、高麗紅参は副作用がないことから、根本的な治療薬の補助として、認知症患者の予防および治療に利用されていくことが期待できるのです。