関節の痛みの治療にヒアルロン酸

ヒアルロン酸治療のポイント

  • ヒアルロン酸は、目、皮膚、リンパ液、関節などにもともと含まれている物質。
  • 「変形性膝関節症」「五十肩」「関節リウマチの膝」など、関節の痛みを抑える治療に使われる。

体にもともと含まれている物質で関節に特に多く含まれる

「ヒアルロン酸」とは、糖質が集まった多糖の一種です。目や皮膚、リンパ液など、私たちの体のさまざまなところに含まれ、そのなかでも特に、関節に多く含まれています。膝関節を例に、関節の仕組みを見てみましょう。

膝関節は、太ももの骨(大腿骨) とすねの骨(頸骨)をつなぐ部分です。骨の先端は軟骨で覆われ、骨同士がこすれ合わないようになつています。

膝関節全体は「関節包」で包まれていて、関節包の中は「関節液」という液体で満たされています。そして、この関節液に、ヒアルロン酸が豊富に含まれています。

ヒアルロン酸は粘りけのある物質で、潤滑油のような役割を果たします。私たちが歩いたり、膝を曲げたりしても、簡単に膝の軟骨や骨がすり減ったり、壊れたりすることがないのは、ヒアルロン酸を含む関節液が、関節の動きをスムーズにしているからなのです。

日本では十数年前から、関節の痛みを和らげる治療に、このヒアルロン酸が使われています。体に含まれている物質なので、副作用が少ないのが特徴で、整形外科で広く行われています。

ヒアルロン酸の作用

ヒアルロン酸には、関節の動きを改善する作用があります。関節の動きが改善されると、炎症が治まり、痛みが抑えられます。また、ヒアルロン酸自体にも、炎症や痛みを抑える作用があります。従来の痛み止めの薬と異なるのは、「軟骨の破壊を防ぐ」という効果があることです。それによって、病気の進行を遅らせる効果が期待できます。

ヒアルロン酸治療 その1「患部に注射して膝の痛みや炎症を抑える」

ヒアルロン酸による治療が行われる代表的な病気が、「変形性膝関節症」です。

変形性膝関節症とは

関節液中のヒアルロン酸の濃度は、年齢とともに低下し、70歳代では10歳代に比べて半分近くにまで下がるとされています。濃度が低下すると、関節液は粘りけを失い、水のようにサラサラになります。すると、潤滑油としての機能が失われて、軟骨同士がこすれ合い、軟骨が少しずつすり減っまていきます。

この軟骨の破片が鮒がれ落ちて、開節包の内側にある薄い「滑膜」を刺激すると、炎症が起こり、痛みが生じます。

そこに、「肥満」や「O脚」「運動不足によるまも、つ筋力の低下」などの要因が加わると、軟骨の摩耗すきまが進み、骨と骨の隙間が狭くなります。すると、骨同士がぶつかり、強い痛みが起こるのです。

変形性膝関節症の治療

軟骨の摩耗が激しかったり、痛みが非常に強い場合は手術が必要になります。一方、軟骨が残っていて、痛みも比較的軽い場合は、従来からの薬物療法や理学療法に加え、ヒアルロン酸を関節に注射する方法も広く行われるようになっています。

ヒアルロン酸による治療の進め方

治療ではヒアルロン酸を注射して、関節液内のヒアルロン酸の濃度を高めます。しかし、ヒアルロン酸はもともと体内にある物質なので、やがて吸収されます。
そのため、治療で痛みがどの程度軽減されるかを見ながら、治療が進められます。一般的には、まず1週間に1回、5回連続してヒアルロン酸を注射します。痛みが治まればここで治療を終了しますが、痛みが続く場合はその後2~4週間おきに1回の割合で注射を続けます。

多くの場合、治療開始から2~3週間後には炎症が治まってきて、痛みで歩くのも苦痛だった人が、積極的に外出できるようになることもあります。

ヒアルロン酸治療 その2「五十肩の治療にも使われる」

一般に「五十肩」と呼ばれる「肩関節周囲炎」は、肩関節の炎症によって痛みが起こる病気です。この場合も、ヒアルロン酸を週1回の割合で数回肩関節に注射すると、多くの場合、炎症や痛みが抑えられます。着替えや高いところの物を取るなどの動作が楽になる人も少なくありません。

関節リウマチの場合

2000年に登場した、分子の大きな新しいヒアルロン酸製剤は、関節リウマチの膝にも効果があります。関節リウマチとは、滑膜に炎症が起きて、軟骨や骨が破壊される病気です。治療の進め方は症状によって異なりますが、発症後早い時期まにヒアルロン酸を注射すると、滑膜の勝れや痛みを和らげ、炎症による関節の破壊を抑える効果が期待できます。

関節リウマチは、全身の関節に起こる可能性がありますが、現在は膝だけにしか使用が認められていません。ほかの関節についても効果があるという発表もあり、現在研究が進められています。

治療後の注意

ヒアルロン酸による治療は、ほとんど副作用がありません。注射後に膝のほてりや腫れを感じる人もいますが、ほとんどは数時間後には治まります。
ただし、注射後は針を刺した場所を触ってはいけません。細菌が侵入すると、骨まで感染が広がることがあります。注射した当日は入浴やシャワーも避けるようにしてください。

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