肝臓

ゆっくり適量飲むことが百薬の長にする

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少し前に、若者たちの間で「一気飲み」がはやったことがありました。大衆酒場などで、周りの人たちに「一気!一気!」とはやしたてられながら、ジョッキになみなみと注がれたビールやチューハイなどを息もつかずに飲みほすやり方です。

いうまでもなく、こんな飲み方は体には最悪です。急激に大量のお酒を飲むと、血液中のアルコール濃度が文字どおり一気に上昇して中枢神経がマヒしてしまい、呼吸停止や心臓マヒを起こして死に至ることさえあるのです。

しばしば報じられるように、春の新入生歓迎会や秋の学園祭のコンパなどで大酒を飲み、死亡事故を起こすのがこのいい例です。さて、私たちがアルコール飲料を飲むと、アルコールの20~30% は胃から、70~80% は小腸の上部から吸収されます。

アルコールはとても吸収が速く、飲むとすぐに血液中に入ります。血液中に入ったアルコールは、その約90% が肝臓で分解され、残りは尿や吐く息といっしょに排出されます。
酔っぱらいの息がくさいのはそのためですし、酒酔い運転の取り締まりで風船をふくらませるのも、呼気の中のアルコールを調べているのです。

肝臓に運ばれたアルコールは、まず、アルコール脱水素酵素の働きでアセトアルデヒドという毒性の強い物質に変えられ、さらにアセトアルデヒド脱水素酵素の作用で、酢酸に分解されます。

この酢酸は最終的には、筋肉などで炭酸ガスと水にまで分解されます。ところで、日本人の肝臓でのアルコール分解能力は、体重10kgあたり1時間に約1gとされています。

たとえば体重60kgの人がウィスキーをダブルで1杯飲んだとすると、アルコール量は約20gですから、それを分解するのに3時間余りかかります。
つまりアルコールというのは、吸収されるのはとても速いのですが、分解され処理されるにはかなりの時間がかかるのです。

そのうえ、日本人の場合、先ほどふれたアルコールの分解に必要な2つの酵素のうち、アセトアルデヒド脱水素酵素については、その働きが欧米人とくらべて弱いということがわかっています。

つまり、アルコールはスムーズにアセトアルデヒドにまで分解されるものの、そのアセトアルデヒドの分解には時間がかかるというわけです。

その結果、体にとって有害であるアセトアルデヒドが、体内にたくさんできてしまいます。外国人にくらべて日本人はお酒に弱く、悪酔いや二日酔いをしやすい体質の人が多いのはこのためです。

ただでさえアルコールが体内で分解され処理されるにはかなりの時間を要するのに、日本人はアセトアルデヒドを分解する能力も低いのです。ですから、短時間に多量のお酒を飲むと、肝臓の処理能力は追いつかなくなり、血液中にアルコールやアセトアルデヒドの量を急激にふやしてしまうことになるのです。

アルコールは、飲み方しだいで毒にも薬にもなるもの。お酒を百薬の長とするには、なんといっても「適量をゆっくりと時間をかけて」という飲み方がおすすめです。

肝臓のためにもぜひ適量を心がけてください。

酔いの自己診断表
段階 血中濃度(mg/ml) 状態
無症状期 0.3~0.5 ほとんど変わらない
微酔期 0.5~1.0 ほろ酔いきげんの状態。息にはアルコール臭。
軽酔期
(第1度酩酊)
1.0~1.5 酔いの症状があらわれる。大きな声を出したり、怒りっぽくなったりする。
酪酊期
(第2度酩酊)
1.5~2.5 明らかに酒酔い状態。舌がもつれ、千鳥足になる。しゃっくりや嘔吐も。
泥酔期
(3度酩酊)
2.5~3.5 高度な酒酔い状態。行動がでたらめになり、言葉もはっきり発音できない。
昏酔期
(第4酩酊)
3.5~4.5 極度の酒酔い状態。意識を失い眠りこんでしまう。死の危険も。
     
     
     

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