発作を抑えることが大切
片顔痛(片頭痛の特徴や原因はこちら)の特徴の1つとして、発作の直前に目の前がチカチカしたり、ギザギザした物が見えたりする(閃輝暗点という)など、視覚前兆を伴う場合があります。
片顛痛の人に特に注意してほしいのが、この視覚面兆です。オランダで行われた研究で、片頭痛患者は脳梗塞のリスクの危険度)が高い、という結果が出ました。片頭痛の中でも発作が1ヶ月に1~2回以上と頻繁に起こり、しかも問輝陪点などの前兆を認める人は、頭痛のない人に比べて、後頭部に脳梗塞の現れる頻度が約柑倍も高かったと報告されています。
また、片頭痛持ちの人の3% が、年問180日(約半年)以上にわたって痛む慢性薗痛に移行したり、ボケ(認知症)を招いたりすることも明らかにされました。一方で、英国の研究では、トリプタンという薬を服用して片顔痛の発作を抑えれば、脳梗塞のリスクを高めずにすむと報告されています。正しい治療を行えば、脳梗塞の危険を抑えることもできるのです。
週末に発作を起こす人が多い
片頭痛の原因については、今のところ、三叉神経(顔面の知覚を脳に伝える神経) が密接に関係しているという考え方が最有力視されています。
片頭痛の発作を招くのは、心身のストレス、気候・天候の変化、女性ホルモンの変化、さらには寝不足や寝すぎ、特定の食品など。こうした誘因によって、血液中の血小板からセロトニンという神経伝達物質が大量に放出されると、脳血管は収縮します。
セロトニンは、脳内の血流量を一定に保つように調整する働きをしています。ところが、セロトニンが出っくしてしまうと、今度は脳血管が急に拡張します。その刺激によって血管周囲にある三叉神経の末端から炎症物質が出て、脳の血管壁が炎症、ま(急性の激しい痛み・発熱・膵れなど)を起こすのです。
同時に、急激に拡張した血管によって、まわりの三叉神経が圧迫されて痛みが大脳に伝えられます。その結果として片面痛が現れるという考え方が、現在、専門医の問で支持されています。発作が起こりやすいのは、ストレスを強く受けているときよりも、緊張から解放されて血管が急に拡張したとき週末に痛みだす人が多いのはそのためです。
脳の興奮状態が血管を傷つけてしまう
片頭痛が起こるたびに、脳の神経細胞は興奮状態になります。それに伴って脳血管の周囲に炎症物質がばらまかれるため、肉眼では見えない程度ながらも脳血管が損傷を受けてしまいます。毎回の小さな炎症を放置すれば、その蓄積が脳の血管壁に損傷を与え、脳血管がつまってしまう、すなわち脳梗塞を引き起こします。
つまった血管の周囲の脳も損傷しやすいため、ボケを招くリスクも高くなるのです。
しかも、一般に脳梗塞を起こしやすいのは60代とされていますが、片頭痛持ちの人は40代から脳梗塞のリスクが高まるという研究報告もあります。最近では、若いころ片頭痛に悩まされていた人が、年を取るにつれて頭痛は収まったものの、耳鳴り(頭鳴という)やめまいなどの症状に移行していくというケースが急増しています。
これは、片頭痛を放置した結果、脳の神経細胞の興奮状態が慢性化してしまったもの。耳鳴りは聴覚の異常が原因だと勘違いして、耳鼻科を受診する人がいますが、実際の原因は脳の興奮状態にあるのです。
このように、片頭痛は見過ごすことのできない危険な病気です。頭痛専門医のいる病医院で検査・治療を受けるようにしてください。
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