突然、不安感、恐怖に襲われる「パニック障害」

かつては「神経症」と呼ばれていた、強い不安によって日常生活にも支障を来してしまう病気を「不安障害」といいます。その1つが「パニック障害」です。突然「パニック発作」と呼ばれる発作が起こり、また発作が起こるのではないかと、強い不安を抱くようになります。

突然、激しい動悸や息切れがおき強烈な不安感に襲われる

パニック障害とは

パニック障害になると、場所や時間を問わず、突然激しい動惇や息切れなどの症状が起こります。そして、「何か重大な病気ではないか、このまま死んでしまうのでは」といった恐怖に襲われがちです。これを「パニック発作」といいます。
パニック発作は、心臓や肺などに何らかの異常があって起きるわけではないので、時間がたてば自然に症状はおさまります。しかし、発作を何度か繰り返すうちに脳が「また発作が起こるのではないか」 という不安が生まれてきます。これを予期不安といいます。その結果、電車に乗れなくなったり、外出できなくなり、生活に支障を来してしまいます。さまざまな調査結果から、人口の約2~5%程度の人は、生涯のうちに一度はパニック障害を経験すると考えられています。
ではなぜ起こるかという点については、現在のところ、脳の機能に一過性の異常が生じていることと、それにセロトニンという「神経伝達物質」が関与していることが理由だとされています。

パニック発作に伴う予期不安が特徴

発作の症状は、多岐にわたります。このなかで特に多くみられるのが、「心拍が速くなる」「呼吸困難」という2つの症状です。パニック発作は、時間が経過すれば自然に治まります。

パニック発作時の主な症状

  • 心拍が速くなる
  • 呼吸困難、胸の痛み
  • 気がおかしくなるのではないかと怖くなる
  • めまい
  • 発汗
  • 手足の震え
  • 腹部の不快感、吐き気

パニック発作を一度、経験すると、軽いめまいなど、ちょっとした体の変化を感じただけでも、「またパニック発作が起こるのではないだろうか」と考え、不安が高まる。すると、それが引き金となって実際にパニック発作が起こり、「死ぬかもしれない」という恐怖を感じ、その結果、ますます不安が高まるという悪循環に陥ってしまいます。

パニック障害の負のスパイラル

パニック発作を何度か経験するうちに、また発作が起きるのではないか? という不安を感じるようになります。これを「予期不安」といいます。予期不安があると、過去に発作を経験した場所や状況などで不安が高まります。それによって、実際にパニック発作が誘発されがちです。そして、発作の症状に対し、パニック障害を起こすと「どうかなってしまうのでは?」 など、極端に悲観的な解釈をします。それによって、ますます不安が強くなってしまうのです。

「広場恐怖」で生活が妨げられる

パニック発作を経験すると、多くの人は、発作を起こすと困る場所や状況に苦手意識をもつようになります。すると、そうした場所や状況を避けるようになり、乗り物に乗れなくなる、外出できなくなるなど、これまでなんともなく普通にできていたことができなくなります。これを「広場恐怖」といいます。こうした状態が長く続くと、気分が落ち込み、意欲が低下してうつ状態になっててしまいがちです。パニック障害の方の約半数は「うつ病」を合併し、日常生活に支障を来してしまいます。

診断と治療

以前は、パニック発作を経験した人が医療機関を受診しても、受診時には発作が治まっていたり、検査を受けても異常が現れないことが多いため、「異常なし」と言われて正しい診断に至らず、放置されるケースも少なくありませんでした。しかし現在は、診断基準がつくられ、それに基づいて診断されるようになってきています。ただし、「不整脈などの心臓病」「ぜんそく」「甲状腺機能の異常」などでも、似たような症状が現れることがあります。パニック障害が疑われるときは、精神科などを受診して、これらの病気を鑑別してもらうことをお勧めします。

治療は大きく2種類

パニック障害の主な治療法は、「薬物療法」と「認知行動療法」の2つです。一般的に広く行われているのは薬物療法で、これで半数以上の患者さんは、十分な効果が得られるといわれています。一方、薬があまり効かなかった患者さんには、認知行動療法が行われます。認知行動療法は、症状の受け止め方を工夫して、行動パターンを変えていく治療法です。

治療その1 薬物療法

「SSRI」を使った治療が効果をあげている

「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」は、抗うつ薬の一種で、パニック障害の薬物療法では第1選択薬として使われています。「セロトニン」は、脳の神経柵胞から放出される神経伝達物質の一種で、神経細胞の間を移動することで情報を伝えています。
SSRIは、伝達に使われたセロトニンが元の神経細胞に戻り、再び取り込まれるのを妨げることで、神経伝達のバランスを整える薬です。SSRIは、以前よく使われていた「三環系抗うつ薬」に比べ、副作用が少なくなっています。ただし、人によっては「吐き気や下痢、眠気、性機能障害」などが生じることもあります。SSRIの服用は、発作が止まったあとも、再発予防のために1年間程度続けます。発作の起こらない状態をある程度維持してから、徐々に薬の量を減らしていきます。また、「抗不安薬」も用いられます。定期的にと服用するほか、頓服として、発作をやり過ごすのに役立てます。薬を携帯することで不安が和らぎ、発作が起きにくくなるという効果もあります。

治療その2 認知行動療法「発作に対する認識を正し、実際に行動して不安を軽減する」

パニック障害では、不安、発作、発作に対する「死ぬかもしれない」という誤った解釈から成る悪循環が起こっています。こうした状況を改善するには、「発作の症状は=体の重篤な病気で起きているわけではない、このまま死ぬわけではない」というように、考え方を修正することが役に立ちます(認知療法)。
また、実際に苦手な場面を経験することで、少しずつ慣らしていきます。これは「行動療法」の一種で、「曝露療法」といいます。例えば、電車の中で発作を起こしたために電車に乗れなくなってしまった人は、まずは家族といっしょに1駅分だけ電車に乗り、それができたら1人で近距離から乗ってみるなど、少しずつ練習していきます。

発作が起こりそうなときの対処法

不安が高まり、発作が起こりそうになったときは、抗不安薬の頓服のほかに、「自律訓練法」や「腹式呼吸」などの「リラクゼーション法」を行うのも効果があります。
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