しびれ

長い時間正座をしたら、足がしびれてしまったということは誰にも経験があるはずです。しかし、外的圧迫などを加えなくても長く続くしびれは、病気が原因の場合もあるため、しっかり病院での受診が必要です。

神経や血管が原因

「しびれ」とは、感覚の異常によって起こり、「何もしていないのにジンジンする」というような不快な症状を指します。長時間の正座で生じる足のしびれは病気ではありませんが、最も代表的なしびれといえます
体には、「痛覚、触覚、温覚、冷覚、位置感覚」などの感覚があります。皮膚や筋肉が刺激を受けると、その刺激情報が末梢神経を通って、脊髄に伝わり、さらに脳へと伝えられます。

皮膚や筋肉で生じた「痛い、熱い」などのさまざまな刺激を感じ取っています。しびれは、刺激が伝わる経路である「末梢神経」「脊髄」「脳」のどこかが障害されて生じます。
この障害によって異常な刺激が脳に送られ、しびれを感じるのです。また、血管の一部が何らかの原因で障害され、血行が悪くなると、障害された部分より先の部分にしびれが起こります。しびれの原因は次の4つに分類できます。

1.末梢神経障害

末梢神経に何らかの障害が起きて、しびれが生じます。単一の神経が障害され、その神経が支配する部分だけがしびれる場合と、複数の神経が同時に障害されて、多発的にしびれが生じる場合があります。

  • 単一の神経障害によるしびれ
    原因と代表的な病気には、「手根管症候群」があります。手首には、骨と靭帯帯に囲まれすきまた「手根管」という狭い隙間があり、その際問を血管や神経が通っています。この手根管がさらに狭くなり、神経が圧迫されると、手のしびれや、「手に力が人らない」という症状が現れたりします。
  • 多発的な神経障害によるしびれ
    原因には、「糖尿病」「尿毒症」「栄養障害」「膠原病」「有害物質による中毒」「帯状痕疹」などがあります。
    糖尿病では高血糖状態が続くことで、尿毒症では腎臓から排泄されるべき老廃物が血液中に増えることで、末梢神経などが障害されて、手足などがしびれます。
    栄養障害は、特にビタミンB群の不足が原因です。普通の食生活を送っていればまず起こりません。多くはアルコールのとり過ぎや、不規則な食生活によるものです。血管に炎症が起こるような膠原病で、手足などにしびれが起こることもあります。
    また、体内に入った有害物質によって、末梢神経が障害されることもあります。帯状癌疹では、子どものころにかかった水ぼうそうのウイルスの活性化が原因で、神経に沿って水痘ができます。痛みやしびれを伴いますが、神経が損傷されると、治癒後も痛みやしびれが残ることがあります。

2.脊椎・脊髄の病気

「頚椎症」「頚椎椎間板ヘルニア」などの頚椎(首の骨)の病気や、「腰椎症」「腰椎椎間板ヘルニア」などの腰椎(腰の骨)の病気でしびれが起こることがあります。頚椎や腰椎は脊椎(背骨)の一部で、「椎骨」という小さな骨が積み重なってできてます。脊椎には脊髄などの神経が通り、椎骨と椎骨の間には「椎間板」があります。頚椎症や腰椎症は椎骨が変形して神経が刺激される病気で、中高年に多いのが特徴です。

椎間板ヘルニアは椎間板が何らかの原因で飛び出し、神経を圧迫します。頚椎が原因の場合は、主に片側の首から手指にかけて、腰椎が原因の場合は、主に片側の腰から脚の裏側にかけてしびれが起きます。そのほかに、「脊椎腫瘍」や「多発性硬化症」もしびれの原因になります。脊椎腫瘍はまれな病気ですが、徐々に症状が悪化していきます。多発性硬化症は脊髄などの神経細胞が障害されて、神経間の情報伝達がうまくいかなくなる病気です。よくなったり悪くなったりを繰り返し、腹部、手足などいろいろな部位に症状が現れます。

3.脳の病気

脳の血管が破れる「脳出血」や、脳の血管が詰まる「脳梗塞」では、体の片側に突然しびれが起こることがあります。「脳腫瘍」や、脳の細胞が変性していく「変性性脳疾患」では、徐々に症状が重くなるのが特徴です。脳の障害された部分により、しびれ以外の症状を伴うこともあります。

4.血行障害

「バージャー病」や「閉塞性動脈硬化症」など、血行障害を起こす病気もしびれの原因となります。冷えを伴うのが血行障害の特徴で、「動脈硬化」が主な原因です。バージャー病は、手足などの末梢の細い動脈が動脈硬化を起こす病気で、患者さんのほとんどはヘビースモーカーです。

閉塞性動脈硬化症は、動脈硬化で血管が狭くなって起こる病気です。手足をはじめ、全身のどこにでも起こることがあります。レイノー症候群では、膠原病などが原因で、血管が収縮して血行が障害され、手足などにしびれが起こります。手や足が白くなり、冷えを伴ってしびれるのが特徴です。
なお、正座によるしびれは、一時的に脚の血流が障害されたり、神経が圧迫されたりすることで起こります。

しびれだけでなく他の症状も伴う場合は注意

しびれは日常的によく経験する症状です。例えば、長時間にわたって正座を続けたときはもちろん、運動したあとで筋肉が疲れ、しびれたように感じることもあります。こうしたしびれは、少し時間が経過すれば自然と消えてしまうものですから、特に心配する必要はありません。気をつけなければならないのは、しばらく様子を見てもよくならず、しびれがどんどんひどくなったり、しびれに伴ってほかの症状が現れてきたりする場合です。このような場合には、何らかの病気が原因でしびれが起きていると考えなければなりません。症状に応じて神経内科や整形外科などを受診する必要があります。

注意しなければいけない症状

  • 半身麻痺や言語障害
    突然体の片側にしびれが起こり、「力が入らない、動かしにくい」などの「麻痺」が現れたり、言語障害を伴っていたりする場合には、脳出血や脳梗塞を考える必要があります。ほうっておくと、重い後遺症などが残る可能性もあるため、できるだけ早く神経内科や脳神経外科を受診しなければいけません。同じような症状が徐々に現れた場合は、脳腫瘍などの脳の病気の可能性があります。
  • しびれる部位が冷たい、歩行障害がある
    血行障害が起きている可能性があります。脚に血行障害が起こると、歩いていると脚がしびれて歩けなくなり、しばらく休むとまた歩けるようになるという症状も現れることがあります。また、間欠跛行は、脊椎・脊髄の痛気でも起こることもあります。
  • 首や腰の痛みを伴う
    首から肩や腕にかけてしびれがあり、首の痛みを伴う場合は、頚椎の病気が考えられます。同様に、腰から下肢にかけてしびれ、腰の痛みがある場合には、腰椎の病気が考えられます。
  • もともと糖尿病や慢性腎不全がある場合
    もともと糖尿病や慢性腎不全がある人にしびれが現れる場合、病気が悪化していることが考えられます。糖尿病の患者さんでは、合併症として「神経障害」が疑われます。初めは手足などがしびれるだけですが、進行すると痛さや熟さを感じなくなり、気づかないうちに「けがややけど」を負うことがあります。慢性腎不全の患者さんの場合は、尿毒症が起きている危険性があります。尿毒症であれば、検査で尿たんばくや血清尿素窒素(BUNなどが異常値を示します。しびれに伴い、何か気になる症状や病気がある場合は、早めに受診して原因を明らかにしておくことが大切です。

まずは病気の治療を。体を冷やさず食生活に気を付ける

らかの病気が原因になつてしびれが起きている場合には、まず原因となつている病気の治療が必要です。例えば、手根管症候群、椎間板ヘルニアなどでは、手術が行われることもあります。手術によって神経への圧迫が取り除かれれば、しびれは大きく改善されます。また、糖尿病が原因の場合には、血糖値をきちんとコントロールすることが、症状の悪化を防ぐのに有効です。

病気が原因の場合、しびれは長く続くことが多い症状です。専門的な治療に加え、日常生活でも次の点に注意すると、症状の改善につながります。冷えを伴う場合は、血行をよくすることが大切です。体を冷やさないようにしたり、適度な運動で、血行を改善します。内側から温めるなら金時しょうがもおすすめです。
食生活では、バランスのとれた食事を心がけ、ビタミン不足を防ぎます。治療でも、ビタミンB剤が使われることもあります。頚椎や腰椎の病気は、無理な姿勢や動作で起こったり、悪化したりします。中腰での作業や、首を後ろに反らす姿勢を長時間続ける、急に立ち上がるなど、脊椎に負担をかける姿勢や動作を避けることが大切です