男性に多い「痔ろう」

便の中の細菌に感染して、お尻に膿の管ができるのが「痔ろう」一です。痔ろうは自然には治りません。肛門に優しい治療法もなどもありますので、早めに受診し、適切な治療を受けなければなりません。

痔ろうとは「膿がたまって激痛が起こり、その後、膿の管が残る」

「痔ろう」は、「いぼ痔(痔核)」に次いで男性に多い痔で、「あな痔」とも呼ばれます。肛門の少し上にギザギザした「歯状線」という部分があります。痔ろうは、歯状線の小さなくぼみに便が入り、便の中の細菌に感染することで起こります。「肛門周囲膿瘍」→「痔ろう」に進みます。

肛門周囲膿瘍
細菌に感染すると、肛門の周囲に炎症が起こり、膿がたまります。その結ま果、お尻が熟をもって赤く勝れ、激痛が起こるほか、38度程度の発熱が起こることもあります。これが痔ろうの前段階である「肛門周囲膿瘍」です。肛門周囲膿瘍になると、突然強い痛みに襲われるため、多くの患者さんが医療機関に駆け込みます。外来では、お尻の腫れている部分に麻酔をし、小さく切開し、膿を排出させます。そのあとに、抗菌薬や鎮痛薬を服用します。時には、皮膚が破れて自然に膿が排出されることもあります。膿が排出されると、痛みは軽くなります。
痔ろう
肛門周囲膿瘍の段階で治る患者さんもいますが、半数以上の患者さんでは、細菌の入り口と膿が排出された出口をつなぐトンネル状の膿の管が残ります。これが「痔ろう」です。痔ろうになると、強い痛みはなくなり、鈍い痛みになります。出口からは、常に膿の混じった分泌液が出て、お尻がべたついたり、下着が汚れたりします。お尻がかぶれてかゆくなったり、不快感が生じることもあります。痔ろうは、時に出口が塞がることがあり、その場合は管の中に膿がたまり、肛門周囲膿瘍のように強い痛みや熱などの症状がぶり返します。

痔ろうになりやすい人

肛門は、もともと強い免疫力を備えており、通常は細菌に感染することはありません。しかし、ストレスや疲労が重なって肛門の免疫力が落ちたときに、ひどい下痢をしたりすると、便の中の細菌に感染しやすくなると考えられます。理由ははっきりしませんが、次のような人は痔ろうになりやすい傾向があります。

  • 下痢症の人…30~50歳代の若い世代の男性で、比較的がっしりした体型の人

深い位置の痔ろうは、括約筋を傷つけないように手術する

痔ろうと括約筋

肛門の周囲には、肛門を締める働きをしている「括約筋」という重要な筋肉があります。内側の括約筋は、無意識のうちに肛門を締める働きがあります。外側の括約筋は、意識的に肛門を閉じたり開いたりするときに働きます。痔ろうの膿の管は、この括約筋を貫いています。膿の管は、肛門に近い部分を通っている場合もあれば、肛門から遠い部分を通っている場合もあります。痔ろうの場合、切開して膿を取り除くだけではなく、管の入り口と出口を併せて処置する必要があります。そのため、膿の管がどのように括約筋を貫いているかによって、適する手術法が異なります。切開開放術、括約筋温存術、シートン法のいずれも健康保険が適用されます。

切開開放術
膿の管が、括約筋の浅い部分を通っている場合に行われます。管の入り口から出口にかけて切開し、管の部分を切り開きます。切開した傷は徐々に治ります。この方法では、再発がほとんどありません。括約筋が傷つけられる範囲が狭く、働きが悪くなることは少ないといえます。しかし、管が深いところで括約筋を貫いている場合に行うと、傷つく範囲が広くなり、肛門の締まりが悪くなる可能性が高くなります。
括約筋温存術
管の入り口側と出口側から、くりぬくようにして、膿の管だけを取り除くのが「括約筋温存術」で、膿の管が深い部分を通っている場合に行われます。この方法では、括約筋が大きく傷つけられることはありません。入り口部分は、縫って塞ぎます。その傷がきちんと治るまでは、便の中の細菌が縫ったところから入り込んで、再発することがあります。痔ろうの手術の入院期間は、いずれの場合も3日〜1週間ほどです。ほかに、特殊なゴム糸を使った治療法もあります(シートン法)。皮膚や粘膜を切って括約筋をむき出しの状態にし、ゴム糸で膿の管と括約筋を縛ります。すると、ゴムの収縮力で、ゆっくりと括約筋が切り進められます。膿の管はしだいに浅く短くなり、最後には管がなくなって治ります。この方法は肛門の締まりが悪くなることがほとんどなく、再発も少ない方法です。
シートン法
シートン法は、以前からある手術法ですが、比較的再発が少ないなどの理由から、最近見直されています。手術の後3ヶ月間程度は、ゴム糸の調整のため定期的に受診する必要があります。

放置してはいけない

いったん痔ろうになると、自宅療養や薬物療法などでは治りません。痔ろうを治すには、手術が必要です。放置すると、膿の管が枝分かれして複雑化し、治りにくくなること為あります。働き盛りの男性では「受診する時間がない」という人もいますが、できるだけ早めに受診することが勧められます。

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3件のコメント

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