セカンドピニオンを使う時代

ここ最近、「セカンドオピニオン」という言葉をよく耳にします。日本語では「第二の意見」。治療の選択や医療の内容について「主治医以外の医師の意見を聞く」 ことを意味します。本当にこの診断、治療がベストなのか?は患者側ではなかなか理解しにくい部分です。2006年4月からその一部に健康保険が適用されるようになりました。制度を活用し、よりよい医療選択するには、その仕組みを理解することが大切です。

健康保険が適用される

例えば喉頭がん(のどのがん) で、「声帯ごと切除する治療法」を医師から勧められたとき、本当にそれしか方法がないのか、ほかの医師に意見を聞いてみたいと思う人は少なくないでしょう。その場合、今までは、主治医に紹介してもらうか、あるいは黙って別の医療機関に移ることが、よくありました。その結果、患者さんが医療機関を転々とする「ドクターショッピング」という言葉さえ生まれました。
こうしたことを防ぐためもあり、2006年4月から、主治医が、紹介状に加え、それまでの検査データやエックス線写真などの画像データを患者さんに渡すと、「情報提供料」が診療報酬として主治医に支払われることになったのです。これには健康保険が適用されます。このことで、患者の側にも医師の側にもセカンドオピニオンを実際に活用しようという動きが高まりつつあります。

セカンドピニオンの流れ

セカンドオピニオンの基本的な流れは、まず、主治医にその旨を伝え、主治医の意見を書いた紹介状と検査データなどを受け取ります。では、どこでセカンドオピニオンを受けたらよいのでしょうか。全国には、国立病院機構に所属する病院だけでも98か所、自治体病院や大学病院などを含めると、ほとんどの大きい医療機関に「セカンドオピニオン外来」があります。その中から、基本的には患者さん自身が、自分の病気の専門医がいる医療機関を探します。その際、予約が必要かどうか、持参するものは何か、かかる費用などを確認しておくことが大切です。セカンドオピニオンを受けた後は、その内容を主治医に報告し、最終的には自分自身で治療方針や医療の内容を選びます。

セカンドピニオンに求められるもの

セカンドピニオンの要望が最も高い病気は、がんです。あるがんセンターでは「このセンターにセカンドオピニオンを求めて来る人は、県内の大病院にかかっている人が多いのです。どの病院も専門性の高さにおいては申し分ありません。医療者側はがんとわかれば、今後どんな治療をどのように進めていくかを患者さんやご家族にお話しするのですが、患者さん側はそのときの説明を、詳しくは覚えていない。「がんです」と最初に宣告されたときには、患者さんの頭の中は真っ白になっているからです。家に帰って冷静になって、もう一度説明を聞きたいと思ったり、あるいは別の治療法があるのではないかと思う。このような患者さんやご家族が、セカンドオピニオンを求めて来られます。
ある付属病院のセカンドオピニオン外来が行ったアンケートによれば、主治医とセカンドオピニオンを提供する医師の意見は、「全く同じ」が32% 、「若干異なるがほぼ同じ」が34% です。「基本的には同じだが一部異なる」の20% を入れると、86%が主治医の提示する治療方針とセカンドオピニオン医の第二の意見は同じと答えています。それでも、セカンドオピニオンを求める患者さんが少なくないのはなぜなのでしょうか。「医師の話し方もあるし、患者さんの受け止め方もあります。つまり、心理的な部分が大きく影響しているのです。

セカンドオピニオンの上手な受け方

セカンドオピニオンを受ける際は、聞きたいことを事前に整理し、メモしておくことが大切です。セカンドオピニオン外来での、30分から1時間を有効に使うためです。相談内容を記載した申し込み用紙と、主治医から提供を受けた検査データなどの資料を、あらかじめ提出することになっています。病院側はこの事前情報をもとに、必要な場合には病理医や放射線科医が、また複数の診療科にまたがる場合は、それぞれの診療科の専門医が事前に検討します。当日の相談には看護師が付き添い、相談時の立ち会いはもちろんのこと、相談前には問題点を整理し、相談後には患者さんが説明をどの程度理解したのかを確認しています。

「主治医から紹介状はもらえたが、検査データは出してもらえなかった」という方もいます。その場合には、残念ながら一般論しかお話しできません。せっかくのお金と時間を無駄にしないためにも、勇気を出してエックス線画像やCT.検査、MRI検査、血液検査などの検査データの提供を受けていただきたいものです。

問題点

課題の1つが、セカンドオピニオン医の情報提供に支払われる「セカンドオピニオン提供料」。これには、必ずしも健康保険は適用されません。適用されない場合には全額自己負担で、金額も医療機関ごとに異なります。ある病院では、全額自己負担で1時間約1万2000円。相談料8000円に、エックス線画像などの読影科を加えた、標準的金額です。「この金額を高いと感じるか安いと感じるかは、1時間かけて専門家が話す医学知識をどう評価するかによります。日本では医師の技術への評価が十分になされてこなかった経緯があります。

「セカンドオピニオン医による情報提供にすべて健康保険が適用されるようになると、今の保険制度では、医師なら誰でもセカンドオピニオンを提供できるようになります。それで患者さんは満足できるでしょうか。ドクターショッピングが進むことにもなりかねません。
経験豊かな専門医が、信頼できるセカンドオピニオンを提供する。それが、患者さんが納得して治療を受けるうえで、なにより大切なのではないでしょうか。「先生にお任せします」の医療から、経済的負担も含めて患者が自ら選択する医療へ。そんな多様化時代のシンボルともいえる「セカンドオピニ オン」を、納得できる医療を受けるために、上手に利用していければ医師側にとっても患者側にとってもいいはずです。

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