予備軍も含めて500人「通風・高尿酸血症」

血液中の尿酸が過剰になって関節の痛みを引き起こす

「痛風」は「突然起こる病気」と思っている人も多いのですが、実はそうではありません。確かに「痛風発作」は突然起こりますが、発作の前段階ともいえる状態は、それ以前から続いているのです。

痛風発作の仕組み

痛風発作を引き起こすのが、「尿酸」という物質です。
尿酸は、細胞の核などに含まれる「プリン体」が、細胞の新陳代謝や、エネルギーをつくり出す際に生じる老廃物で、食品に含まれるプリン体を分解する過程でも生じます。最終的には腎臓で濾し取られ、尿とともに排泄されます。
健康な人でも、血液中には一定量の尿酸が含まれています。ところが、腎臓での尿酸の排出を上回るペースで尿酸がつくられたり、腎臓の尿酸を排出する働きが弱かったりすると、余分な尿酸が血液中にたまってきます。血液中の尿酸値が7mg/dlを超えると、「高尿酸血症」と診断されます。この状態が続くと、血液中に溶けきれなくなった尿酸が結晶となり、足の指などの関節にたまりますが、痛みなどの症状はまだありません。
ところが、何らかの刺激によって結晶が卸がれ落ちたりすると、そこに白血球が集まってきて、結晶を攻撃します。その結果、炎症が生じて、強い痛みを引き起こします。これが痛風発作です。痛風発作は、最初は足の親指の付け根の関節によく起こります。前触れもなく激しい痛みが起こり、2~3日ほど続きます。ところが、1週間~10日もすると、しびれや痛みは治まるため、治療を受けずにほうっておく人が少なくありません。しかし、尿酸値が高い状態が改善されたわけではないので、多くの場合は、やがて次の発作に見舞われます。2回、3回と発作を繰り返すうちに、ひぎ発作と発作の間隔が短くなり、くるぶしや膝などの大きな関節にも起こるようになります。また、合併症も起こってきます。

若い人も急増している痛風

これまで、痛風は日本ではほとんどみられませんでした。ところが、食生活の急激な欧米化に伴って、痛風の患者数は右肩上がりに増えています。特に最近は、子どものころからファストフードなど、高エネルギー量の食事をとり続けている人が多く、20~30歳代の若い世代にも痛風が増えているのです。今後は、標準的な健康診断や保健指導プログラムに、尿酸値の項目が加わります。これによって、高尿酸血症をより早期に発見し、多くの人が適切な治療を受けることで、痛風の患者数が減ることが期待されます。

痛風・高尿酸血症の危険度チェック

人間の体内にある尿酸の約80%は、細胞の新陳代謝や、プリン体からエネルギーをつくり出す際に生じたものです。そして、残りの約20%は、食品中のプリン体が分解されてできたものです。尿酸値が上がる背景には、もともとの体質と、食生活などの生活習慣の両方がありますが、生活習慣は自分で改善することができます。まずは、自分の危険度をチェックしてみましょう。

  • 動物の内臓や魚の卵などが好き
  • アルコールが大好き
  • 日々ストレスが多い
  • 時々、激しいスポーツをする
  • 親族に痛風になった人がいる
  • 男性である

尿酸値が高ければ医療機関で検査を受ける

上の7項目の2つ以上に当てはまる場合は、尿酸値が高くなっているケースがあります。医療機関で血液検査を受け、尿酸値を調べます。血液検査からふだんの生活を見直すきっかけにするのがいいでしょう。

合併症を防ぐ

高尿酸血症により引き起こされる症状のひとつ

「痛風」は、正確には「痛風関節炎」といい、「高尿酸血症」によって生じる症状の1つです。高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が7mg/dlを超えた状態のことです。痛みなどの自覚症状はありませんが、じわじわと関節に尿酸の結晶がたまり、痛風関節炎を引き起こします。

痛風発作が起きたら

痛風関節炎は、突然の激しい痛みが特徴です。足の親指の付け根に起こることが多く、その場合は地面に足をつけて立つこともできず、横になっても、布団の重みさえつらく感じるほどです。発作が起こったときは、まず痛みのある部分を冷やします。
横になって、患部を心臓より高いところに上げると、患部への血流が弱まり、痛みが和らぐことがあります。発作中は、「非ステロイド性消炎鎮痛薬」などの痛みを鎮める薬を使います。痛みが完全に治まったら、2週間ほどあけて、尿酸値を下げる治療を始めます。発作中に尿酸値を下げると、かえって痛みがひどくなるためです。

痛風は放置すると悪化する

痛風発作自体は自然に治まりますが、高尿酸血症は治療しない限り、改善しません。放置すると、次第に発作の回数や炎症を起こす部位が増え、痛みもひどくなって、治りにくくなります。さらに、痛風発作を繰り返すうちに、関節に尿酸の結晶がたまり、次第に勝れてきます。これが「痛風結節」です。痛みはありませんが、次第に関節が変形し、動作に支障を来すようになります。痛風発作が足の関節に多いのに対し、痛風結節は全身のどの関節にも起こる可能性があります。
痛風発作に次いでよくみられるのが、腎臓の障害と「尿路結石」です。これらの合併症は、高尿酸血症の状態が長く、尿酸値が高い人ほど起こる可能性が高くなります。

腎臓の機能が低下する「痛風腎」

高尿酸血症の状態が続くと、腎臓に尿酸の結晶が沈着し、腎臓の働きが徐々に低下してきます。これが「痛風腎」です。痛風腎になると、尿酸が排出されにくくなり、ますます尿酸値が高くなるという悪循環が生じます。
痛風腎になっても、尿酸値を下げる治療を行えば、進行を止めることができます。しかし、そのままほうっておくと、さらに悪化して、「腎不全」になることもあります。腎不全は、腎臓の働きが健康なときの30%以下に低下した状態のことです。現在、腎不全は、高尿酸血症の患者さんの死亡原因の第3位を占めています。

尿酸の結晶が固まってできる「尿路結石」

尿路結石は、「腎臓、尿管、勝胱、尿道」という尿の通り道(尿路) のどこかに、結石ができる病気です。高尿酸血症では、主に腎臓や尿管に尿酸の結石ができて、痛みや血尿を引き起こします。痛風の患者さんの約30%にみられます。

生活習慣の改善と薬物療法を平行する

高尿酸血症の治療法には、生活習慣の改善と薬物療法があります。基本となるのは生活習慣の改善で、痛風発作の経験がなく、尿酸値もさほど高くない場合は、生活習慣を見直すことから始めます。一方、痛風発作を何度も起こしたことがある人や、生活習慣の改善だけでは尿酸値が十分に下がらない場合、合併症がある場合などには、薬物療法の併用を検討します。

薬物療法

高尿酸血症には、「尿酸の排泄が低下するタイプ」と「尿酸の産生が過剰になるタイプ」、そして「その両方を併せもったタイプ」の3種類があります。尿酸値を下げる薬は、これらのタイプなどに合わせて選ばれます。高尿酸血症のタイプは、尿をためて、尿酸の排泄量を調べる検査でわかります。入院して24時間分の尿をためる方法もありますが、通常は半日程度で調べられます。

  • 尿酸排泄促進薬
    尿酸の排泄が低下しているタイプに使われます。尿酸の排泄を促し、尿酸値を下げます。
  • 尿酸産生抑制薬
    体内で尿酸がつくられるのを妨げる薬です。尿酸が大量につくられるために尿酸値が上がっている人に向いています。

また、尿中の尿酸の濃度が高くなると、尿路結石ができやすくなります。そのため、尿をアルカリ性に傾けて、尿酸を溶けやすくする「尿アルカリ化薬」もよく使われます。合併症を防ぐためには、こうした治療によって高尿酸血症を改善しておく必要があります。高尿酸血症と診断されたら、腎機能の検査など、合併症の検査も受けておきましょう。

痛風・高尿酸血症の治療に使われる薬はこちら。

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